こんにちは。獣医師の堀尾です。
暑い季節も終わり、朝晩は寒いくらいの気候になってきましたね。🍂
季節の変わり目で体調を崩さないようお気を付けてお過ごしください。
さて先日当院のブログで9月1日は「防災の日」、8月30日から9月5日までは「防災週間」と定められていますとご紹介しましたが、今月10月3日に「ぼうさいこくたい2020」が開催されました。今年は新型コロナウイルス感染症の影響でオンラインでの開催となりましたがご覧になられた方もいらっしゃるでしょうか。
「ぼうさいこくたい(防災推進国民大会)」とは、国民一人一人の防災意識の向上・定着を図り、災害に関する知識や経験の共有等を図ることを目的として開催されているものです。
日本は台風・豪雨・地震・火山噴火など災害大国と呼ばれています。
皆さんはペットの災害対策は何かされていますか。
東日本大震災や熊本地震で「被災ペット」の存在が話題となりました。
被災ペットとは、災害のあとに行方不明になってしまったり、飼い主さんとはぐれて迷子になってしまったペットたちのことをいいます。
環境省が2017年3月にまとめた報告によると、熊本地震後に熊本県と熊本市が保護収容した「被災ペット」の数は、犬1094頭、猫1405頭にのぼり、このうち元の飼い主さんが見つかり無事に帰ることができた頭数は犬400頭、猫に至ってはたった11頭にすぎなかったと言われています。このとき迷子札やマイクロチップなど、身元がわかるようなものを装着していたのが犬368頭、猫13頭にすぎなかったと言われ、今ペットたちの災害対策の重要性が叫ばれています。
2019年6月12日に国会で「改正動物愛護法」が成立し、わんちゃんねこちゃんへのマイクロチップ装着が義務化されました(現在すでに飼われているわんちゃんねこちゃんについては努力義務)。マイクロチップとは、直径約1~2mm_長さ約8~12mmの円筒形のガラス又はポリマーのカプセルで包まれた小さな電子標識器具です。これをわんちゃんやねこちゃんの皮下に挿入し、専用の読み取り機で読み取るとその子の固有の番号を確認することができ、インターネット上のデータベースに登録されている情報と照合することで素早く身元を証明することができるというものです。
このマイクロチップが普及する以前からわんちゃんの身元を証明する役割を果たしてきたのが狂犬病ワクチンを打った時に住んでいる市町村から発行される「鑑札」と「注射済票」です。これらの装着は狂犬病予防法で義務付けられています。下の写真は、左が和歌山市の鑑札で、右が和歌山市の注射済票の写真です。鑑札はその子が和歌山市に住んでいる間はずっと着けておいていただくものです。注射済票は年度ごとに色が変わり今年度分の狂犬病ワクチンを打っていますよということを示すものになります。
また市外から引っ越しをされてきた方で鑑札の登録住所が引っ越し前の住所のままの方が時々いらっしゃいます。鑑札はわんちゃんの住民票のようなものです。今和歌山市に住んでいる方で市外から引っ越されてきた方は和歌山市の愛護センターに行って鑑札の住所変更も忘れずに行うようにしましょう。
マイクロチップも動物病院で挿入してもらって終わりではありません。専用の申込書に必要事項を記入して日本獣医師会に郵送し、データベースに情報を登録してもらわなければなりません。多少の手間と費用はかかりますが、環境省がまとめたデータ(環境省自然環境局、犬猫の引取及び負傷動物の収容状況平成29年度資料)によると、東日本大震災のあと保護された犬・猫で鑑札や迷子札を身に着けていた子は全頭がその後無事に飼い主のもとへ帰ることができたと報告されています。🐶🐱
いつ起こるかわからない万が一に備えて、この機会にペットの防災対策についてご家族の皆さんで考えてみませんか。
マイクロチップの挿入についてなど何かご相談がありましたら、お気軽に当院スタッフまでお尋ねくださいね!
獣医師 堀尾