こんにちは。院長の加藤です。
おとといは台風による大雨、みなさん大丈夫でしたか?
昨日からは台風一過で気温も上がりましたね。
本格的に夏が始まりそうですね!
さて、遅くなりましたが、先日休診をいただいて参加した学会の報告を僕からも少し。
今回は、猫の循環器疾患に関する講義を中心に聴講してきました。
ネコちゃんを飼われている方であれば、「心筋症」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
疾患名で言うと、「肥大型心筋症」、「拡張型心筋症」、「拘束型心筋症」など、です。
簡単に言うと、心臓の筋肉が分厚くなったり、薄くなったり、硬くなったりすることで、様々な症状・病態を生じる病気です。
大切なのは、診断名よりも、心臓のどこがどう悪くて、どういう治療をしてあげるのが適切なのか、ということです。
それを見極めるために、問診のほか、聴診、レントゲン、エコー、心電図、血圧検査などを使って、我々は病態の把握に努めています。
ただし、ネコちゃんで多くみられる「心筋症」とワンちゃんで多くみられる「弁膜疾患」において大きく異なる点が2点あります。
1つ目のポイントは「聴診」です。
ワンちゃんの場合、ワクチンや定期検診で心雑音を指摘され、心臓病が見つかったというご経験のある飼い主さんも多いのではないでしょうか。
このように、心雑音が聴取されれば、何らかの弁膜疾患が疑われます。
ただし、ネコちゃんの場合、心雑音が無くても心筋症の子がいます。また、心雑音があるのに異常がない子もいます。難しいですね。
2つ目のポイントは「無症状」です。
弁膜疾患のワンちゃんは、初期であれば、心雑音は聞こえるが無症状ということがあります。
そして、レントゲンやエコー検査の結果、まだ心機能が保たれているので、投薬はせず経過を観察しましょう、ということもあります。
ネコちゃんでも同様のことはありますが、無症状でも強く治療をお勧めする場合があります。
それは、ネコちゃんの心筋症は「血栓症」を合併しやすいから、です。
残念ながら、血栓症は非常に予後の悪い病態です。積極的に治療しても助からないこともあります。
ですので、たとえ無症状でも、諸検査の結果、血栓症のリスクが高いと判断すれば、治療を強くお勧めします。
このように、ネコちゃんの心臓病は、心雑音がないこともあります。
無症状でも、血栓が形成され、後肢が麻痺し、生命の危険を脅かす可能性があります。
ネコちゃんの小さい心臓をレントゲンやエコーなどで評価するのはなかなか難しいこともありますが、
今回得た知識を基に技術を磨き、ネコちゃんたちやそのご家族の方々が快適な生活を送れるよう、手助けをしたいと思っております。
心雑音が聴取されたり、疲れやすい、呼吸が荒いなどの心臓病が疑われる症状がみられるときはもちろんですが、
心雑音が無くても、症状が無くても、是非一度、ネコちゃんの心臓病のこと、考えてみてあげてください。
そしていつでもご相談くださいね。